駐車禁止場所に駐車していた時の事故の過失割合について。
先日、駐車していたところにぶつけられて車両が破損した事故についての相談、依頼を受けた。
保険会社からは、あなたにも10%の過失があると言われていて納得がいかないとのこと。
保険会社がこちらに過失を求める理由を聞くと、駐車違反だから、とのこと。
他に何も言われていないのかと聞くと、何も言われていない、判例タイムスに書いてあるからしょうがない、とのこと。
確かに、「別冊判例タイムス 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」の「駐停車車両に対する追突事故」のところの修正要素に、
駐停車禁止場所=-10% とある。これを採用しているということだろう。
しかし、駐車違反=10%の修正 というのはどうだろう。少々乱暴すぎるのではないかと思う。
判例タイムスには「法の規制(法44条,45条)に反して車両を駐停車させることによって、他の交通の妨害をし、事故発生の危険を高めている点を考慮する。トンネル、カーブの途中、道路の曲がりかど、坂道等においては、追突車からは被追突車の発見が容易でない。」
となっている。
他の交通の妨害をし、事故発生の危険を高めている点を考慮する、である。
後半部分の例示の場所においては、該当することは明らかだと思うが、他の場合などは「他の交通の妨害をし、事故発生の危険を高めている」かどうかで10%の修正をするケースであるかどうかを判断すべきではないか。
例えば、二車線の見晴らしのきく直線の国道で、事故当時は車両の往来が全くない状態で追突しても、10%の過失を取るべきなのか。
明らかに、他の交通の妨害をしておらず、事故発生の危険を高めていない駐車違反の状態だと思うが。
当該判例の冒頭解説でも「道路上に違法に駐停車した者の責任が問題となった事案においては、駐停車車両と追突車両の双方の過失相殺率は、事故現場の状況,駐停車車両側の事情,駐車によってもたらされる交通の危険の増加の程度,追突車両の義務違反の程度,追突の回避可能性の大きさ等、事故を取り巻く諸般の個別的事情を総合的に検討した上で認定される」となっている。
これらを読む限り、駐車違反=10%の修正 ではなく、やはりその駐車によって、他の交通の妨害をし、事故発生の危険を高めていた場合に10%の修正をする、と判断すべきと思うのだが。
現在の保険会社間の事故処理の現場では、駐車違反=10%の修正となっているのであれば、どうなのだろう。。